活発化してきた位置情報サービス〜Twitter の次はこのジャンル?

ツイッターを利用していると、図のようなツイートをよく見かけるようになった。短縮URLをクリックすれば、投稿した人が食事したラーメン屋の周辺地図とともに、訪れたユーザの人数などもわかる。

【図1 foursquareでチェックインしたことをツイッターに配信】

foursquareは、実際に訪問した場所の位置情報を記録してくサービスだ。店舗に訪問("チェックイン")した記録を残して楽しむサービスだ。個人的には「XXXなう」とつぶやくよりも、気恥ずかしくもない。サービスを開始したのは2009年3月。ちょうどサービス開始から1年経過した。現在の利用者は、およそ60万人。今年のはじめ頃から"ツイッター"の次は"foursquare"などと噂されはじめている。日本でも昨年後半から注目され、利用者が増え始めた。位置情報を利用した代表的なコミュニティサービスを図にまとめた。

【図2 位置情報を利用したコミュニティ・サービス】
同様の位置情報を利用したコミュニティ・サービスでは、gowallaBright-Kiteなども注目されている。昨年12月にサービスを開始したMytownは、150万人の利用者を獲得したと報じられた。facebookが4億人といっている状況からすると、本格的な広がりはこれからだ。ポイントはiPhoneを代表とするGPS機能を搭載したPDA端末の普及にある。同時に、数多くの位置情報サービスが開始されたが、徐々にゲーム性の高いサービスがが人気を集めつつある。
国内でも、上記のサービスが利用できるので、試してみるとfoursquareよりもgowallaのほうが位置精度が高いように見受けられた。また、歩いた場所をトレースできる他のiPhoneアプリケーションなどでは、ときどき歩いた道から大きく外れた場所を示すこともある。iPhoneの位置情報取得方法はどうなっているのか?調べてみた。

iPhoneパンフレットには、「位置情報」という項目に、
・Assisted GPS (A-GPS)
・デジタルコンパス2
Wi-Fi
・携帯電話通信

と「さらり」とかいてある。それぞれは、位置情報を取得する手段を示しているが、これではわからないので、もう少し調べてみた。以下のような内容だ。

A-GPSGPS情報を直接衛星から取得するだけでなく、携帯電話の通信網を経由して取得する。これにより、
・位置情報を取得可能な範囲(主に窓に近い室内など)を拡張できる
・位置情報の計測時間を短縮できる
利用できる範囲では誤差は10m程度ということだ。A-GPSのAは「アシスト」の略。

デジタルコンパス
磁石を使わずに方向を特定できる。位置(座標)情報の取得ではなくベクトル情報を取得する機能だ。

Wi-Fi
GPS情報を利用せず、Wi-Fiネットワークのサービスプロバイダとの通信から得られる位置情報を活用する。Wi-Fiサービスが有効である地域で活用できる。

携帯電話通信
GPS情報を利用せず、携帯電話の基地局との通信から得られる位置情報を活用する。

Wi-Fi」、「携帯電話通信」は、「A-GPS」に比較して、精度は落ちるが、GPSでは取得不可能な室内や地下などでの位置情報取得が可能になる。アプリケーションプログラムで位置情報を取得する場合、iPhone SDKCore Locationフレームワークを活用する。このフレームワークでは、上記の方法を効果的に切り替えながらもっとも適した位置情報を取得できる。アプリケーション開発者は、どの方法を利用しているかは特定できない。アプリケーションは、パラメータ設定によって精度を調整できる。ただし、精度を高めると消費電力が大きくなるデメリットもある。アプリケーションごとに位置精度が異なる要因は、この精度の設定内容と取得しようとしたタイミングにありそうだ。

図は、各携帯キャリアの位置情報取得方法だ。

【図3 携帯キャリアごとの位置情報取得方法一覧】
各社「GPS」と「基地局通信」の両方の方式を用意している。NTTドコモでは、「iモード対応機種対応コンテンツ・機能一覧」に機種ごとの対応方式が掲載されている。最近の機種では、製造メーカによって「ネットワークアシスト方式」か「ネットワークアシスト方式と単独測位方式併用」のいずれかに分かれる。この差によって、位置精度が異なることが考えられる。auでは、最近の機種の大部分は、「EZナビと簡易位置情報の併用」になっている。ソフトバンクも機種によって対応が異なる。全般的には、GPS基地局のネットワークを活用することが主流になってきた。iPhoneと比べると「Wi-Fi」ネットークが使えないものの、端末による精度差は縮小傾向にあるだろう。

auGPS搭載の携帯電話を売り出したのは、2001年。実に9年前だ。さらに、緊急通報の際に発信者の位置を通知することが2007年4月より義務化された。このような背景もあり、もともと位置情報を活用した携帯サービスは、日本が先駆者だ。いわゆる「位置ゲー」アプリケーションが多数存在する。(「位置ゲー」という言葉はコロプラが商標登録出願中)。代表格は「まちつく」や「コロニーな生活☆プラス」などだ。利用者も100万人をこえ、上記米国発位置情報を利用するコミュニティ・サービスを凌駕する。毎週のようにニュースになるタイアップ企画も注目の高さ・サービスの完成度の高さを物語る。プロモーションと位置情報を取得できる携帯端末の普及により、ゲーム者だけでなく、一般生活者にも認知が進んできた。ゲームの枠を超えた取り組みが楽しみだ。