ストリーミング中継を急増中!新感覚メディアを楽しもう。

compete.comによると、ustream.tvのユニークビジター数は、この1年間で2.5倍に増加した。
【図0_ustream.tvのunique visitorsの推移】

週末、ストリーミング中継が身近になったことを実感する、事件とイベントがあった。
■竹下通りがパニックなう
3/26(金) 16時頃、原宿・竹下通りで、大勢の群衆が集まりパニック状態になった。アイドルグループがゲリラライブを敢行するとの噂が発端らしい。ゲリラライブを敢行するとされたアイドルは、HEY SAY JUMPからAKB48に時間とともに変化するも、何れも事実無根の情報だ。警察が事態の収拾に乗り出したが、けが人も出た。携帯電話、メール、mixiGree、モバゲー、2ちゃんねる等、噂を加速させるインフラは、既に充実している。デジタル・ネイティブと称される若年層は、これらを効果的に使いこなす。春休みと重なったこともあり、竹下通りはパニックに発展してしまった。竹下通りだけではない。ネット上でも、ツイッター、ストリーミングサイト、写真サイト、2ちゃんねる等を介して、瞬く間に事件は広まった。私のtwitterアカウントのタイムラインも、この話題一辺倒になった。ツイッター上ではnaokicks(http://twitter.com/naokicks)氏が、その様子を写真をtwitpicに掲載(http://twitpic.com/1az6wc)して、ツイートしている。

【図1_竹下通りがパニックなう】
その後のツイートによると、この写真は25万viewを超えているそうだ。写真についたコメントは、5,800件を超える。
同じく、事務所が竹下通りにある株式会社イオス(http://www.e-o-s.net/index.html)の吉田社長は様子をストリーミングサービスのtwitcastingで中継(http://twitcasting.tv/satovi/movie/81330)した。映像は今も閲覧可能。再生すれば、群衆の悲鳴のような声も聞こえてくる。現場の壮絶な状況が伝わってくる。この映像は、これまでに12万回を超えるViewがある。

【図2_竹下通り大パニック】
ともに、ニュースを配信した人は、たまたま事件の近所で仕事をしていた人だ。もはや、特別な設備、専門フタッフがなくてもニュースの実況中継は可能だ。実際、上の写真や映像はテレビや新聞サイトにも使われた。同じ写真や映像を目にした人も多いだろう。事件を伝えるには十分なクオリティーだ。
ソフトバンクオープンDAY
3/28、ソフトバンクは汐留本社の25階の社員食堂にustreamスタジオを開設した(http://www.softbank.co.jp/ja/news/press/2010/20100328_01/index.html)。2月に孫社長ツイッターで「了解。作りましょう」と発言したことが実現された。

【図3_了解作りましょう】
5月には渋谷に常設スタジオを用意することも発表されている。しかも無料。プレスリリースには、「今後も、より多くの人々が、いつでも誰でも気軽にUstreamを使って世界中に情報を発信できるよう、全国各地にUSTREAMスタジオを設置する準備を進めていきます。」とある。ツイッターでコミットして実現する姿勢にソフトバンクのイメージも大いに高まった。ustreamの利用も加速するだろう。ソフトバンクのオープニング・イベント終了後、16:40からはスタジオを使った第一号の放送がスタートした。スタート時には3,000名を超える人々が視聴している。進行役のラジオDJサッシャ(http://twitter.com/sascha348)氏とDJ TARO(http://twitter.com/DJ_TARO)氏は、「下打ち合わせを十分にしていない」と打ち明けながらも、臨機応変トークを繰り出し、視聴者を惹きつける。ストリーミング・ページには、映像とともに視聴者から発せられたツイートも表示される。開始早々「声小さいよ」といったメッセージが寄せられた。すぐさま、ボリューム調整がなされる。続いて、「お茶を出してあげて」というメッセージを受けて、出演者にお茶が配られる。サッシャ氏曰く「視聴者がディレクターです」。これまでのテレビ・ラジオの放送では考えられない番組進行だ。

【図4_放送中のタイムライン】
ゲストの音楽ユニットSweet_Vacation(http://www.sweetvacation.jp/)のボーカル、Mayはタイにいる。このため、汐留とバンコクの喫茶店での2元中継が開始された。画質は少し劣化したが、音声はクリア。ストレスなく中継を楽しめた。

【図5_2元中継の様子】
4台のカメラに加え、高機能な編集機材も装備されている。白いソファーも快適そうだ。これが無料で借りられる。先のニュース配信と違い、充実した設備と番組進行のプロフェッショナルが視聴者が楽しめる番組、ゲストの魅力を引き出す番組を作り上げた。

放送の中で、音楽の制作プロセスを配信するアイディアが披露された。
・先行試聴会:新曲を流しながら、その曲を作った思いなどをアーティストが説明する
・レコード録音風景:リアルタイムに視聴者から意見をもらいながら、アレンジを微調整する
・コンサートのリハーサルを配信:視聴者の親近感を高める
など、音楽に限ってもustreamの使われ方が広がってゆくイメージが浮かぶ。
放送後のツイートでは、今後のサービス拡大への期待が多数寄せられていた。「歴史的放送に立ち会えて光栄」といった、ちょっと大げさな人もいた。

ニュースにしろ番組にしろ、これらのメディアの重要な特徴は、映像と一緒に、視聴者がツイートしたタイムラインを同時に見れることだ。リアルタイムに大勢の視聴者の反応がわかることで、ニュース・番組の魅力を高められる。反面、この仕組みを利用すれば、誹謗中傷や公序良俗に反するツイートを流すことはいとも簡単だ。悪気がなくても、差別用語守秘義務に抵触するような内容をうっかり発言する人もいるかもしれない。主催者としては、心配の種だ。予算のあるイベントでは、画面に表示するタイムラインに載せる前に、同時通訳のようにリアルタイムにチェックする運用が常識になるかもしれない。
今回のustream放送のページでは、図のような免責事項が掲載されていた。放送を見る視聴者への注意喚起のメッセージだ。

【図6_免責事項】
視聴者も新しいメディアに接する心構えが必要だ。また、情報発信が手軽にできるようになったことから、著作権に関心をもつ人が近頃増えているとも聞く。

同じ先週末にこんなこともあった。
■「Twitterでは知らない人に@を飛ばす時にはIDのあとに「様」をつけるのが決まりです。これをしないとブロックされます。気をつけましょう。」

【図7_Twitterでは知らない人に@を飛ばす時にはIDのあとに「様」をつけるのが決まりです。】
3/26(金)11:46に発せられた、ツイートだ。トゥギャッターのページ(http://togetter.com/li/11087)は、1万viewを超える。Topsy(http://topsy.com/s/Twitter%E3%81%A7%E3%81%AF%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%81%AB@%E3%82%92%E9%A3%9B%E3%81%B0%E3%81%99%E6%99%82%E3%81%AB%E3%81%AFID%E3%81%AE%E3%81%82%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%80%8C%E6%A7%98%E3%80%8D%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8C%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%A7%E3%81%99?window=a)でみれば、この1件が100件をこえる新たなツイートを生み出し、クチコミが広がったことが見て取れる。

【図8_Topsyでバイラルしたツイートをチェック】
現状、このような「決まり」は、ない。しかし、ツイッターを使い始めた人には、守らなければならないマナーと受け取った人も、少なからずいたようだ。
目にした情報に振り回されないよう、「ウラ」をとる意識も重要になってきた。