まずは「貢献」ありき。「セルフ・ブランディング」を進めるcrowdspringのソーシャルメディア活用例

crowdspring(http://www.crowdspring.com/)は、ロゴ等のデザインを全世界のデザイナー(Crative)から提案を受けることのできるサイトだ。

【図】crowdspringのwebサイト
所謂、クラウドソーシング・サービスだ。クラウドソーシングサイト「crowdSPRING」利用体験記。300ドルで84件のロゴデザインを GET!(前編)(http://japan.internet.com/column/webtech/20090512/8.html)、「300ドルで84件のロゴデザインを Get!crowdSPRING を使ってみた。(後編)(http://japan.internet.com/column/webtech/20090526/8.html)」に詳細な説明があるので参考にされたい。
このサービスを過去に2度利用したことがあるが、全世界から集まる面白いロゴデザインに出会い、大変刺激を受けた。ロゴを決めるという目的もさることながら、途中のプロセスで提案されるデザインや、デザイナーとのコミュニケーションも楽しい。調査した当時から約1年が経過した状況だが、図のようにサービスは着実に成長しているようだ。デザイナー数は58,322と昨年の2倍に達している。また、プロジェクト毎の応募件数も60%程度の増えている。サービス自体が活性化している様子が伺える。

【図】crowdspringのサービス状況

crowdspringは、2008年創業時代からツイッターのアカウント@Crowdspring(http://twitter.com/Crowdspring)を用意している。

【図】@Crowdspring

following数9,398 follower数9,661 リスト数1,253 ツイート数9,290(2010/4/20現在)とかなり積極的に活用している。最近のツイート内容を分析してみた。follower数とfollowing数が拮抗しているので主に、利用者とのコミュニケーションに活用していると予想したがそうでもない。全体の22%程度にとどまる。また、営業活動に直結するプロジェクト(デザインコンペの案内)のプロモーションも7%でしかない。
ツイートのうち45%は、デザインサイトなどの他社サイトの紹介に費やしている。
ツイートをおっていくと、
・Inspiration: 50+ Vector-Based Book Covers - http://bit.ly/9ocTmL(http://vector.tutsplus.com/articles/inspiration-50-vector-based-book-covers/)
・40+ Awesome Grunge Style Photoshop Brush Packs - http://bit.ly/apPSnO(http://www.1stwebdesigner.com/freebies/awesome-grunge-style-photoshop-brush-packs/)

などといった、美しいロゴなどのデザインを紹介するページにアクセスできる。デザインだけでなく、秀逸なwordpressプラグインや新しいソーシャルメディアツールも紹介している。専門家がフィルタリングした情報だ。デザインに関心のある人であれば、このアカウントをフォローするメリットは大きいだろう。彼らのテーマがデザインであり、日々その調査を実践していることがよくわかる。紹介したサイトは、企業ブログ(http://blog.crowdspring.com/)でいつでもチェックできるように用意されている。同様にfacebookにもファンページも用意し、情報発信をしている。ファン数は1,844名。このように、デザインに関心のある人に向けて、積極的に貢献している。企業ブログには、デザイナー(creative)も頻繁に紹介され、彼らのブランディングにも貢献している。

ツイッター・アカウントを運営しているのはcrowdspringの共同創業者のrosskimbarovskyだ。彼自身もツイッターアカウント(@rosskimbarovsky:http://twitter.com/rosskimbarovsky)を持っている。follower数は2,800名程度、ツイート数は1万を超える。こちらも、積極的に活用している様子が伺える。同様にデザイン関係やcrowdspringのプロジェクトの紹介などが企業アカウントと重複してツイートされているが、自分の興味のある分野(Interested in crowdsourcing, startups, innovation, marketing, tech and law)についての内容が追加される。プライベートな「つぶやき」は殆ど、ない。個人ブログも用意されている。

【図】rosskimbarovskyのブログ
まず、個性的な風貌が目をひく。

【図】rosskimbarovskyのプロフィール

本人のインタビュー動画も多数掲載されている。創業・起業に強い関心を寄せていることがよくわかる。反面、デザインに関することはこちらには掲載していない。メディアの使い分けをしているようだ。ブログで取り上げるテーマの大半もそちらの内容だ。crowdspringにエントリーするデザイナーの大半は個人事業主か小規模な企業だ。そもそもcrowdspringを立ち上げたのも氏が企業のスタートアップに興味があるからだろう。何れにせよ、本人の専門性・考え方・喋り方の癖などが、日本にいても十分伝わってくる。crowdspringは企業及び個人の情報発信とコミュニケーションによって、クラウドソーシングを利用してデザインを提供するという事業に沿った、ユニークなエコシステムを構築している。

とりわけデザインを最たるものとして、人を売り物にするサービス産業では、定量的な実績や企業規模だけでは、評価はできない。企業側も顧客に関心を持ってもらうための「貢献」と、そこで働く人の「個性」を積極的に発信してゆくことが効果的だ。実績も歴史もないスタートアップ企業にとっては、なおさらだ。

現在、当社でも、Looops Trends(http://trends.looops.net/)というサイトを用意し、全社員が専門分野を自己宣言し情報発信をはじめている。是非利用していただきたい。