「あっちゃん(オリエンタルラジオ)に学ぶツイッター運営ポリシーの作り方」

ゴールデンウイーク最終日、芸人中田敦彦さん(オリエンタルラジオ)のブログがちょっとした騒ぎになった。発端は、NHK-FMの「今日は一日”帰ってきたアニソン”三昧」(2010年5月5日(水・祝)午前9:20?翌午前1:00放送)という長時間番組内で繰り広げられた、中田さんのヱヴァンゲリヲンに対する熱い思いを語ったトークだ。長すぎたようだ。リスナーはアニソン(アニメソング)を聞きたいがために番組を聞いている。長いトークに苛立ったアニソンファンが2chや中田さんのブログで不満をぶちまけた。
中田さんのブログでは、

5/5 15:28「アニソン三昧で喋りすぎです
トーク番組じゃないんですよ?
エヴァの話とかどうでもいいわ」

といった投稿は始まり、現在587件のコメントが付いている。ブログは図のようであるから、内容とは全く関係ない。

【図 中田敦彦さん(オリエンタルラジオ)のブログ】
そのコメントは削除されることもなく、今も確認できる。その後のコメント件数の推移をグラフにまとめた。

【コメント件数の推移】
グラフでは、コメントを私の主観で、以下の3種類に分析・類型化した。

ポジ:中田さんに好意的な発言、クレームを投稿する人たちをたしなめる発言
ネガ:中田さんに批判的な発言。
無関係:上記の何れともとれない発言。

図のように、おおよそ一時間後には沈静化している。恐らく番組放送を聞いていた人がリアルタイムに苛立をコメントを書き込んだことが見て取れる。
18:12 中田さんは、ツイッター公式アカウントから本件に関する心境をツイートしている。

ツイッターからのツイート】
謝罪をしながら、自らの立場も主張している。内容を読む限り、長いトークは番組からの要請に従っただけのことのようだ。グラフは対応の適切さを物語る。同時刻、10件近い「ポジ」発言が投稿されている。これを炎上中にツイートしていたら、火に油を注ぐ結果になっただろう。沈静化してからのタイミングが効を奏し、ツイートに反応したブログのコメントも好意的だ。実際のコメントも「ツイッター見た」「かっこいい」といったツイートを評価する内容だ。

5/10のブログには、"FAQ"題して、ツイッターの運用ポリシーを投稿している。質問にあったものを頻度の多い順にまとめたものだそうだが、よく出来ている。コミュニケーションマネージャの方には大いに参考になると思う。主だった内容をピックアップして紹介したい。

【図】ツイッターFAQ

(括弧内は原文の再掲)
・本人がツイートしていることを表明
(本人ですか → 本人です。 picolkun=中田敦彦です。)
・アカウント名の経緯(アカウント名のpicolkunとはどういう意味ですか → 「ピコル君の小さな冒険記」の主人公の名前です。)
・フォロー返し方針
(フォローしてください → こちらをフォローしていただいた方には自動でフォロー返しをします。ただ、システム上フォロー数に上限がありますのですぐにはできない可能性があります。気長にお待ちください。)
・フォロー受付方針
(フォローしてもいいですか → 大歓迎です)
・リムーブを気にしないことの宣言
(リムーブしてもいいですか → ご自由にどうぞ。)
ツイッターの利用目的
(picolkunをフォローしていないのにフォローされましたが何故ですか → 僕はtwitterの使用について実験というか模索をしておりまして、自分の中で思うところあり、いろんな人を理由もなくフォローしています。怯える必要も喜ぶ必要もありません)
・リムーブするケースの説明
(フォローされていたのにリムーブされていますが何か問題がありましたか → リムーブについては、実験の途中段階での行動でそうなりましたが、そこにも意味はありませんので悪しからず。現在の方針ではフォロワー全員フォロー返しを目指していますのでそのうち再フォローされます。お待ちください。)
・DMは歓迎しないことの表明
(DM(ダイレクトメール)を送ってもいいですか → 基本的には、送らないでください。仕事上やプライベートで付き合いのある方からの緊急的もしくは一時的連絡方法として使っていきますので、それ以外の方は基本的にメッセージは@picolkunでリプライとして送信してください。その基本方針に反してDMを送ってきた方に関しては申し訳ありませんがスルーさせていただきます。一方的に何度もDMを送信してくる方に関しては、最悪の場合、ブロックさせていただく可能性もあります。)・ツイート内容の傾向(出演情報をおしえてください → レギュラー情報についてはブログの過去記事参照(2010年5月 1日 の「纏」という記事)お願いします。その他の単発の出演に関しては収録時につぶやいていきます。)
・ツイート内容の傾向
(「OO収録!」とつぶやきがありましが放送日時を教えてください → 時間があればわかる範囲でお知らせしますが、こちらもいろいろと混乱をきたしていますので、ご興味がわきましたら何卒ご自身で御調べいただければと思います。)
ツイッターを活用したイベントの紹介
( 塗り絵選手権とはなんですか → 月に一回程度、twitter上に投稿した僕のイラストに、他の人が色を塗って送り返されたものの中から優勝作品を含む優秀作品10作品を発表するプチtwitterイベントです。)
ツイッターを活用したイベントの紹介。ハッシュタグもときどき活用することの紹介
(塗り絵選手権の絵の送り方が分かりません → @picolkun宛てに画像付きリプライとしてつぶやけばOKです。(ハッシュタグはそのときどきで))
ツイッターを活用したイベントの紹介。参加インセンティブの紹介
(塗り絵選手権に優勝したご褒美はなんですか → 作品をマンスリーよしもと「芸人前夜」(僕の連載ページ)の挿絵として掲載。その際に優勝者の名前(アカウント名)も掲載。さらにブログでも作品と名前を掲載。名前については希望があれば変更も可です。)
そして最後には、
FAQで回答した基本方針は変更することもあります。その際はまた新たに改訂版をブログでアップしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。」と結んでいる。これだけ丁寧に利用者目線で説明がなされれば、ツイッターへの取り組み姿勢だけでなく、その人の理解も深まる。しかもブログで作成されているので、今後追加・修正がなされた場合も、経緯を含めて公開することができる。出来たら、ツイッターの利用目的を「思うところがあって」としている箇所を具体的に教えてもらいたいところだが、そこは芸人、手の内を明かせないこともあるのだろうか。
ブログのコメントにも、「基本方針了解!」「丁寧な説明ありがとうございました」など好意的な内容が並ぶ。ソーシャルメディアを積極的に活用しながら、着々とウッフィー※を溜めている。

※ウッフィー:ソーシャルネットワークで結ばれた人同士に長い時間かけて育まれる信頼,尊敬,評価の総称